【14話】 タッチ
1993年の秋、僕はファミレスでバイトを始めた。バブルはもう、崩壊して世の中は暗い話題も多かったけど、僕は一応は青春を謳歌していたように思う。

* 解説ブログ「20世紀少年」

先輩たちの「With a Little Help from My Friends」に僕たちは興奮した。

大きな岩石がいくつも飛んでくるような迫力で、小野先輩の歌声はソウルフルという表現がピッタリだった。


演奏が終わると小野先輩もすべてをやり切ったという感じで、顔に満足感が溢れていた。


僕らはパイプ椅子から立ち上がり盛大に拍手した。

小野先輩は僕らに右手を挙げ、照れくさそうに僕らから見て左側の立ち位置へと動いた。


その左側の位置にはベースを地味に弾いていた藤村俊二似のヒョウヒョウとした顔のバンダナを巻いた先輩がいて、彼は小野先輩がいたセンターに移った。

二人がすれ違うとき、互いに軽く手でタッチをしたのが印象的だった。


オヒョイ先輩(藤村先輩)は自信に溢れた表情で、マイクに「 I Get Aroundいくぜ。」とつぶやいた。

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